働き方が変わる!今さら聞けない「テレワーク」と「在宅勤務」の違い

あなたは「テレワーク」と「在宅勤務」の違いを説明できるでしょうか?
新型コロナ禍の影響によって「在宅勤務」を行う人は一気に広がりましたが、この2つの違いをよく理解しておらず、「同じものなんじゃないの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
じつはこの2つは厳密に言うと異なるもので、結論から言うと「在宅勤務」の方が「テレワーク」に含まれているのです。
知ったかぶりのままでいると、思わぬところで恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。今のうちにきちんと違いを理解しておくことをお勧めします。
というわけで、今回は「テレワーク」と「在宅勤務」が同じものだと思い込んでいた方のために、それぞれの定義や違いなどを分かりやすく解説していきますね。

じつは範囲が広い「テレワーク」とは

ITを日本語で言うと「情報技術」ということはほとんどの方が理解していると思いますが、その中でも通信面にスポットを当てた技術を「ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)」と言うことを知らない人もいるかもしれません。
テレワークとは、このICTを活用して、職場以外の場所で働くことを指します。

テレワークの種類

「テレワーク」に似た言葉に、「リモートワーク」という言葉があります。
IT系の業界などでは「リモートワーク」と呼び方をする企業が多いですが、政府が公式に使っているのは「テレワーク」の方です。
テレワークは、時間や場所を有効に活用できる「働き方改革」のひとつです。「働きき方改革」は政府が推し進めていますが、とくにテレワークに関しては、もともと政府の管轄だった社団法人日本テレワーク協会が普及活動を行っています。
総務省や日本テレワーク協会では、テレワークを主に3つに分けて説明しています。

  • 在宅勤務
  • モバイルワーク
  • サテライトオフィス勤務

また似たような言葉が出てきました。「モバイルワーク」とは何でしょうか。

ほとんどの人が実施している「モバイルワーク」

「モバイルワーク」とは、スマホやタブレットのような「モバイル端末」を使った働き方です。
どういう仕事にモバイル端末を使うのかというと、

  • クライアントとの話し合いのすき間時間に、社内の仕事を管理する
  • 移動中にスマホから仕事を済ませた後、そのまま直帰する

といった使い方で、要は、オフィスに戻ることなく、モバイル端末を使って仕事を片づける働き方は、すべて「モバイルワーク」です。
ひと昔前までは、会社用と私用とで携帯電話を分けるのが普通でしたが、今では仕事の電話が個人のスマホにかかってくることも珍しくなくなりました。スマホを活用しないとスムーズにビジネスを続けることができなくなるところまで、モバイル端末は浸透しています。

サテライトオフィスとは

「サテライトオフィス勤務」というのは、会社の事務所がある本拠地から離れた場所にあるオフィス(「支店」もそのひとつですね)で行う勤務形態です。
支店とはいえ、直接そこに出社するわけですから、在宅勤務とはちょっと違います。しかし、わざわざ本社へ行かなくても、サテライトオフィスが自宅の近所にあれば、そこで勤務ができることになりますから、働く人にとっては大きなメリットになります。
これまで「支店」といえば、都市部の本店から出張する地方にあるイメージが一般的でしたが、最近では、都心に本社がある会社が近郊にサテライトオフィスを作るケースも増えています。都心に出勤する必要がないということは、働き方が大きく変わることを意味しています。

シェアオフィスやコワーキングスペースでの働き方は?

最近では「シェアオフィス」「コワーキングスペース」という言葉もよく耳にしますよね。
そういった施設での働き方も、サテライトオフィスと同じで、「テレワーク」の一種として分類することができます。
こうしたことから、日本テレワーク協会などでは、シェアオフィスやコワーキングスペースなども含めて「サテライトオフィス勤務」と呼んでいるようです。
広い意味では、街のカフェでノートパソコンを広げるのも、サテライトオフィス勤務に近いと言えます(ただし、カフェにはセキュリティ上の問題があります)。
サテライトオフィスと、シェアオフィスやコワーキングスペースがどこが違うのかというと、前者はあくまでもその会社が所有する施設ですから、利用者もその会社の社員だけであるのに対し、後者を利用するのは、その会社以外も含めた複数の企業の社員であるということです。

急速拡大中の「在宅勤務」とは

さて冒頭にも書いたように、正確に言うと、「在宅勤務」は「テレワーク」の一形態であると言えます。
在宅勤務は、社内ではなく、自宅で生活を行いながら仕事を済ませる働き方です。

在宅勤務の種類

在宅勤務は、大きく分けて、

  • 常時在宅勤務: 社内には基本出社せず、すべての業務を自宅で行う
  • 部分在宅勤務: 社内出社が基本だが、週に2日など指定された日は在宅で業務を行う

という2種類があります。
新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入した企業は数多くありますが、今のところは全面的に在宅勤務を認めるところは少数で、多くは後者の「部分導入」が多いようです。

在宅勤務のメリット

政府は、働き方改革を通じて、仕事とプライベートのバランスを取り、満足度の高い生き方を実現することを推奨しています。これを「ワーク・ライフ・バランス」と言いますが、最も達成できるのは、在宅勤務であると言われています。
あらゆる企業で在宅勤務が進めば、出社する必要がなくなり、出勤の煩わしさから解放され、ストレスと時間のムダがなくなります。その分、より自由に時間を使えるようになるので、プライベートの充実につながるというわけです。
障がいがあるなど、外出が難しい方でも、在宅勤務であれば他の人と同じように働けますから、ダイバーシティの実現にも有効です。
また新しい言葉が出てきましたが、「ダイバーシティ」とは、個人や集団間に存在するさまざまな違い(多様性)を尊重し、それを生かした組織に変革するマネジメントのことです。
また、地震や台風などといった事態が発生し、出社ができなくなったときにも、在宅で仕事ができる状況であれば、業務を継続できるということも、在宅勤務のメリットです。
現在、コロナウイルスの影響でうかつに出社できない状況が続いているという方もたくさんいますよね。それが数日であれば休みにあてるのもいいかもしれませんが、数週間、数か月に及んだら、会社の存続も個人の経済も成り立たなくなってしまいます。
そんなとき、在宅勤務が可能であれば、会社に出社することなく、仕事の生産性を安定させることができるわけです。

在宅勤務にも「課題」はある

いいことづくめのように見える在宅勤務ですが、もちろん課題もあります。

  • 社内と同じように、問題なくコミュニケーションを取れるようにするにはどうすればよいか
  • モチベーションを在宅でどう維持して仕事を行うか

といったことです。
コミュニケーションもモチベーションも、仕事の生産性を上げるためには大事な要素です。
在宅勤務の制度を会社に導入する際には、この2点の低下をどのように防ぐかという対策を十分に検討する必要があります。

テレワークや在宅勤務の今後

上にも書いたように、災害時にも業務が継続できることが在宅勤務やテレワークのメリットですが、つい最近まで、大企業以外ではあまり導入は進んでいませんでした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、中小企業も含めてテレワークを導入する企業が増えた結果、そのメリットが世界中で証明されることになりました。
今もなお、コロナウイルスの感染拡大を防止し、従業員の安全を守るために、テレワーク、特に在宅勤務を導入する企業が続々と増えています。
もちろん、緊急事態宣言解除後に元の出社スタイルに戻した会社もありますが、テレワークのメリットを重視し、テレワーク主体の働き方改革を進めている企業も多く存在します。
有名な会社で言うと、次のような例があります。

  • トヨタ: 正社員などの従業員の在宅勤務制度を拡充
  • カルビー: モバイルワークを無期限で延長。通勤定期代支給停止なども実施
  • 富士通: テレワーク基準の働き方に変更。月額5,000円の在宅勤務補助代の支給を開始
  • 社会の変化に柔軟に対応するこうした企業は、いずれも生産性の向上を強く意識しています。
    今後、アフターコロナの時代に企業が生き残っていくためには、従来の働き方に捉われず、好きな場所で従業員が働ける環境づくりを行うことが必須かもしれません。

    従来の働き方が大きく変わる時代

    今回は、テレワークと在宅勤務の違いを中心に、従来の働き方との違いも含めて説明しました。
    テレワークの一部である在宅勤務は、今後も新型コロナウイルスの影響を背景に、ますます拡大していくことでしょう。極論ですが、オフィス不要論を掲げている企業まで現れているのです。
    従業員が安心してテレワークで働ける環境作りを、企業に率先して行ってほしいですね。

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