【難問】テレワークとリモートワークとは、どこが違うのか

新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークが急速に普及しました。
政府では「テレワーク」という言葉を使っていますが、「リモートワーク」という呼び方もあることに気づいていますか?
どちらの言葉が正しいのか、そもそも同じことを指しているのか、混乱してしまう方もいるかもしれませんね。
先に結論を言ってしまうと、「テレワーク」と「リモートワーク」は、じつはほとんど同じ意味です。
ただし、その定義や、よく使われている業界などを確認してみると、ちょっとした違いもあるので、覚えておくといいでしょう。
ということで、今回はテレワークとリモートワークの違いを知りたい方向けに、それぞれの内容を解説します。

政府が私用している「テレワーク」とは

日本テレワーク協会や総務省などでは、テレワークを「ICT(情報通信技術)を用いて、場所や時間に捉われず柔軟に働くこと」と、はっきり定義しています。
それによれば、テレワークには3つの働き方があります。

  • 在宅勤務:家にいながらオフィスと同じように働く方法、コロナの影響で普及
  • モバイルワーク:外出先や顧客先などで、モバイル端末を使って仕事を行う方法
  • サテライトオフィス勤務:サテライトオフィスやレンタルオフィスなど、勤務先以外の用意された場所で働く方法

ちなみに、もうひとつ紛らわしい言葉に「在宅勤務」というものがあります。これも「テレワーク」とどう違うのか、と混同する方がいるかもしれませんね。上記で説明している通り、在宅勤務はテレワークの一部を指すのですが、詳しくは別記事「働き方が変わる!今さら聞けない「テレワーク」と「在宅勤務」の違い」をご覧ください。

じつは、「テレワーク」という言葉は意外と歴史が古いことをご存じでしょうか。
「テレワーク」という言葉が誕生したのは1970年代のアメリカ・ロサンゼルス。その当時問題となっていた大気汚染を緩和させるため、交通手段を使わずに自宅で働ける「テレワーク」が普及しました。
日本でも、1980年代にNECがテレワークを導入して話題となりました。1990年代になるとサテライトオフィスが続々と登場しましたが、バブル崩壊の影響にあり、テレワークの動きはいったん小さくなります。その後、パソコンやインターネット環境が整備されるとともに、再びテレワーク普及の動きが大きくなってきたのです。
今では、サテライトオフィス勤務に限らず、モバイルワークや在宅勤務のハードルも低くなりました。

じつは明確な定義はない「リモートワーク」とは

さて、次に「リモートワーク」です。
リモートワークとは、「パソコンやスマホなどを使って、オフィスから離れた遠隔の場所で働くこと」です。
しかし、政府は「リモートワーク」という言葉を使用しておらず、明確な定義も見当たらないようです。
「リモートワーク」という言葉がよく使われるのは、IT企業です。「リモート」とは「遠隔」という意味ですが、IT業界には「リモートアクセス」「リモートデスクトップ」という専門用語があるので、それに馴染んでいるIT企業では「テレワーク」より「リモートワーク」のほうがしっくりくるのかもしれませんね。

はっきりした定義は見つかりませんでしたば、リモートワークもまたいくつかの形態に分類されることがあります。

  • フルタイム・リモートワーク:勤務すべてを遠隔で済ませる
  • ハイブリッド・リモートワーク:出社しながら、同時に遠隔で業務を行う
  • テンポラリー・リモートワーク:緊急時などに、一時的に遠隔で業務を行う

いずれもちょっと耳慣れない言葉のような気がします。

「リモートワーク」という言葉がいつどこで生まれたかは不明ですが、「テレワーク」よりは新しい言葉と思ってもいいでしょう。認知度では、政府や大企業が使用していることもあり、「テレワーク」のほうが断然高いようです。
もっとも、明確な定義が決まっていない分、自由に使えるという面もあります。
たとえば、自宅ではなくカフェや図書館で働く場合は何と言えばいいでしょうか。
これは、厳密にいうと、先ほどあげた「テレワーク」の3種類の働き方のどれにも当てはまっていませんが、遠隔で働いていれば使える「リモートワーク」という言葉は使ってもおかしくありません。「図書館やカフェでリモートワークをする」と言っても間違いではないのです。
一方、インターネット喫茶では、お店のブースで業務を行うことを「テレワーク」と呼んでいるようです。
「テレワーク」も「リモートワーク」も、あまり違いを意識されずに使われているようですね。

テレワークとリモートワーク、どう使い分ければよいか?

「テレワーク」も「リモートワーク」も、基本的には同じように使用して問題ありませんが、状況によって使い分けらると、より適切な対応ができることがあります。
たとえば、政府関係の団体や大企業に属す方とミーティングを行う際には、先方が使い慣れている「テレワーク」のほうを用いて会話したほうが違和感を感じられることはないでしょう。逆に、IT企業やベンチャー企業などの人と話すときには、「リモートワーク」のほうを使ったほうがスムーズになるかもしれません。

あまり違いを意識しなくても大丈夫

今回はテレワークとリモートワークの違いを比較しながら説明しました。
政府や大企業などで使用されているのが「テレワーク」、IT企業やベンチャー企業などで使用されているのが「リモートワーク」という違いはあるものの、基本的にはあまりはっきりと区別されずに使わているケースが多いので、あまり目くじらを立てる必要はないかもしれませんね。
それでも使い分けられると、スマートな印象を相手方に与えられます。ぜひテレワークとリモートワーク、両者を状況によって使い分けられるようになってみてください。

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